■ KAGEURAにインスパイアされたサイコスリラー。
※登場人物
影之浦・・・本作の主人公。愛媛出身で、現在は東京に身を置くサラリーマン。
瀬矢奈・・・影之裏の彼女。
万田忠夫・・・影之浦の後輩。
清水もこみち・・・影之浦の友人。
「申し訳ありません。個人情報ですので、お教え出来ません」
テレビでワイに瓜二つな男を発見した翌日、仕事の合間を見つけてワイはテレビ局に電話を掛けてみた。気になって仕方が無かったからや。
「失踪したワイの兄によう似とるるんやが」
ワイが出まかせで言うた失踪という言葉に不穏な空気を感じ取ったんか、電話の向こうの女は
「少々お待ち下さい」
とか言うて、受話器を5分ほど留守にしよった。
結果から言うとあいつが誰なんかはわからへんかった。当たり前や。そもそも期待なんかしてへんかったし。ただ、女はこう言いよった。
「実は一般人ではなく、劇団の方も一部混ざっていたんですよ。劇団の連絡先をお教えしますので、あとはそちらの方で」
それを聞いて急に面倒くさくなった。ワイは何をやっとんやろかと。普通テレビで自分そっくりな男を見つけたからいうてここまでするか?どうかしとるでほんま。やからワイは自分の記憶を疑うことに決めた。似とると思ったけどきっとそこまで似てへんかったと。それでええやん。
しかし、その二ヶ月後。つまりは今から振り返って先月のこと出来事なんやけど、ワイはまたあいつを発見した。
ワイは毎朝、7時30分発の山●線の電車に乗って職場に通っとっるんやが、その電車は田町駅と品川駅間では京●東北線と併走する。その朝たまたまワイはドアに面して立っとったんやけど、併走する京●東北線の電車の中にあいつの姿を見つけた。
たった数分の出来事やが、ワイはあいつから目が離せへんかった。似とるどころの話やない。ワイそのものや。ただ、そのときワイの動悸がおさまらへんかったのは、あいつもワイを凝視しとることが分かったからや。その目は酷く冷たかったように思う。
その日の夕方、ワイは真っ直ぐに帰宅せずもこみちの店へ出向いた。
「やっと来てくれましたか。何度電話しても姿を見せないから、連れない友人だなぁと思っていたところです」
「ワイも忙しいんや。許るせや」
こいつはワイの友人や。もこみちはエスニック料理屋のオーナー兼料理長をしとる。店はまだオープンしたばかりみたいやけどな。
ワイはカウンターに腰掛け、ガパオライスをオーダーしたあと、もこみちに質問してみた。
「お前、自分にそっくりなやつを見てしもたらどうする?」
カウンター越しのキッチンでフライパンを忙しくなく動かしながら、もこみちは顔だけこっちに向けて答える。
「よく言うじゃないですか。この世には自分そっくりな人間が3人いるって。一々気にしちゃいられませんよ」
「3人もおってたまるか」
そもそもあれは似とるいうレベルやない。鏡写しや。
もこみちはワイの目の前に出来立てホカホカでギトギトのガパオライスを置く。
「お前オリーブオイル使い過ぎやろ」
そもそもガパオライスにオリーブオイルって必要あるんか?まぁ黙って食えと促すもこみちに冷ややかな視線を送りながらワイは一口食う。
「うまいやん!」
そのあとワイはピスコサワーを浴びる程飲み、帰宅したあとは瀬矢奈に介抱してもらわんとベッドまで辿り着けへんかった。
そして翌々日、ワイは恐ろしい体験をすることになる。
(続く)
■年内連載予定
セカタビにインスパイアされた世界紀行ドキュメンタリー『拝啓、親父へ』
ヘンリクにインスパイアされた戦隊ヒーロー『チャリキ戦隊ヘンリクレンジャー』
エイスメンディにインスパイアされたサスペンス『白衣の絶対領域』
Revigoにインスパイアされたハートフルコメディ『定価21円の奇蹟』
永野健にインスパイアされたアイドルプロデュース道『永野坂46』
管理人にインスパイアされた回顧録『失われた日曜日』
■連載終了
糸魚川にインスパイアされた本格ミステリー『迷探偵イット』
[ 2017年08月27日 - 18:50 ]
Revigo (08/27 - 20:54) もこみちさんの料理解説(笑)
(08/27 - 20:10) 短いのに読み応えある。でもサイコスリラーよりかホラーだなたしかに
(08/27 - 20:05) ガパオライスに乗せる目玉焼きはオリーブオイルで焼きますよね。残ったオイルは捨てずに野菜と挽き肉を炒める時に使う。
(08/27 - 19:49) 主イサオか?
(08/27 - 19:46) ガチで気味悪いもん書くな
これはひどいw (08/27 - 19:36) 永野健にインスパイアされたアイドルプロデュース道『永野坂46』
(08/27 - 19:35) 辰巳=コークは神
MARKS (08/27 - 19:06) 出たよピスコサワー。
(08/27 - 19:01) ホラーじゃねえかw