■ スペイン、ひいては世界中を揺るがしたヴィニシウスに対する人種差別行為から3日後、マドリーは新たな試合を迎えた。試合直前、ひざの違和感によってこの試合を欠場したヴィニシウスに対して、ベルナベウの南スタンドでは「ヴィニシウス、俺たち全員が、もう十分だ」との横断幕が掲げられ、またピッチ上のマドリーの選手たち全員がブラジル人FWの20番のユニフォームを着用して彼に寄り添っている。

GKクルトワ、DFカルバハル、ナチョ、アラバ、リュディガー、MFカマヴィンガ、バルベルデ、モドリッチ、クロース、ロドリゴ、FWベンゼマをスタメンで起用したマドリー。立ち上がりにラージョの攻勢を許し、それを無失点で抑えた後にボールを保持し始めるものの、試合を明確に支配するまでには至らない。なお20分にはヴィニシウスに向けたチャント、喝采が起こり、フロレンティーノ・ペレス会長の隣で観戦する同選手は、立ち上がって手をあげてそれに応えていた。

そして31分、マドリーが先制に成功。ベンゼマがバルベルデのスルーパスからペナルティーエリア内に侵入。GKディミトリエフスキもかわしてからボールを枠に押し込んでいる。ベンゼマは今季ラ・リーガ18点目。得点ランク首位レヴァンドフスキとは5点差となっている。

1-0で後半を迎えたマドリーは、前に出てくるラージョを相手にカウンターを中心の攻撃で追加点を狙う。56分には左サイドを抜け出したモドリッチのアウトサイドクロスにカルバハルが足から飛び込んだが、ミートできずボールは枠外へ飛んでいる。アンチェロッティ監督は63分にバルベルデをセバージョス、71分にモドリッチをアセンシオ、83分にリュディガーをチュアメニに代えた。

そして83分、スコアが動く。動かしたのは、マドリー陣地で試合を進めていたラージョ。チャバリアがナチョを左サイドに引き出してからボールを折り返し、これを受けたマドリー下部組織出身、ラウール・デ・トーマスが右足のシュートでクルトワを破っている。

だがマドリーも89分、この日2本目の枠内シュートで2点目を決めた。セバージョスの縦パスをライン間で受けたロドリゴが、ペナルティーアーク付近から右足グラウンダーのシュートでネットを揺らした。マドリーはこの1点を最後まで守り切り、2試合ぶりの勝利を果たした。

ヴィニシウスに勝利を捧げたマドリーは、アトレティコに勝ち点2差をつけて暫定2位に浮上した。